2015/07/07
鍼灸師の西出隆彦です。
さて、感情というものは表に出さなくても、表情やしぐさなどを通して第三者に伝わるもの。
長く同じ時間を過ごしている者には尚更です。
今回はそんなお話。
鍼をするようになってから、なぜか家人との関係まで良くなりました。
私は何も変わっていないのに、優しくしてくれるようになったので不思議です。
鍼は受けている人以外にも影響をあたえるのですか?
このような質問を頂きました。
家庭内の不和が改善したのは何よりです。しかし残念ながら、鍼灸にはそのような遠隔的な効果はありません。あくまで受療者のみに直接的な影響をあたえます。
次のようには考えられないでしょうか。
あなたが以前とは少し変わっていて、それに対する反応が返ってきているだけだ、と。
“私は何も変わっていない”とは仰いますが(←治療者としては複雑な気分です)、心身の状態が少し楽になることによって、表情や言動や、立ち居振る舞いが少し変わっているのかもしれません。
今よりもつらい思いをなさっていた時とは、外からの刺激に対する反応も違っているはずです。
ぎくしゃくしていた頃のご家族は、苦しんでいるあなたに対してどう対応してよいか分りかねていたのではないでしょうか。
ひょっとしたら、「つらいのはお前だけじゃない。」と感じていらっしゃったかもしれません。同時に「それを口に出しては、余計に追い込んでしまう。」とも考え、自分を抑えていたのかも。
どう対応してよいかわからないものに対しては、避けるようになったり、つっけんどんになったり、ときには苛立ったりするものです。
あなたが無意識のうちに表情や言動や立ち居振る舞いを軟化させたことで、ご家族はあなたに対して、少し「とっつきやすくなった」と感じたでしょう。あるいはあちらも無意識かも。
いずれにせよあなたのご家族は、あなたが変化したことによって、あなたに対する様々な“優しい”働きかけが出来るようになったのです。
それはスピリチュアルでも何でもありません。
単純に、人と人との関わり合いの話です。
ただ、その改善に鍼灸が多少なりとも寄与したということは、少しだけでも良いですから認めていただけると嬉しいです。