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2015/09/17

不妊治療と鍼灸という手段 ―三陰交を例にとって―
不妊鍼灸でよく使うツボ_三陰交

三重県津市で不妊鍼灸といえばじねん堂…と認知されるのはいつの日か。鍼灸師の西出隆彦でございます。

 

さて、東洋医学という言葉が、胡散臭かったり神秘的だったりといった非科学的なもの象徴であるとするのなら、「鍼灸=東洋医学」ではないというのが私の考えです。

 

なぜなら、鍼灸は単なる手段だから。

 

刺激を与えるための手段でしかないからです。

 

 

臨床で行われている鍼灸治療の中には、東洋医学的な観点から病体にアプローチする手法と、科学的な知見を基に病体へアプローチする手法とが混在しています。

 

用いる手段は同じ鍼灸ですが、そこを刺激するに至る“考えかた”が異なるのです。

 

たとえば不妊患者にたいして、足首付近にある「三陰交」というツボを鍼灸で刺激するとします。

 

そのツボを使う理由はそれぞれ…

 

 

■東洋医学的観点から

肝経、腎経、脾経が交わる三陰交を使って、血を補い、腹を温めよう

 

■科学的な知見から

体壁内臓反射を用いて子宮を支配する骨盤神経(副交感神経)の活動を亢進させ、子宮血流を増加させよう

 

 

と、なります。

 

考え方の部分で、私は後者を支持しています。

 

後者の考え方を支持しているにもかかわらず、なぜ私が東洋医学的な鍼灸術を治療院において行う手法の根幹と定め、学術団体の三重支部長まで務めたのか。

 

それは施術による効果を望めるからに他なりません。

 

そもそも、現代鍼灸の科学的な知見というものは、東洋医学的な観点からなされていた治療(使用されていたツボなど)の効果を科学的な手続きに則って検証していくことで得られたものです。

 

東洋医学的な観点からの治療が科学的でないのは確かですが、それらすべてが理に適っていないとは言い切れないのです。

 

科学的な手法で検証しきれていないか、手付かずか、現時点では検証が不可能かの何れかと考えられるからです。

 

東洋医学の基礎である「気の概念」自体が仮説(2000年以上立証されていない化石のような仮説!)ですので、土台からしてグラグラな感は否めないとはいえ、体表面への直接的な働きかけと、それにより引き起こされる変化については、今後の研究による科学的な確からしさの担保が期待できます。

 

 

残念ながら、同業者の中には「鍼灸の作用を科学的な視点で説明出来なくても構わない。むしろ必要ない。」という意見の者も一定数存在します。

 

先ほどから述べているように、私はこの意見に反対です。

 

「身体の仕組みで科学的に解明されていないことだって沢山あるじゃないか。」という発言も耳にすることがあります。

 

これは論点のすり替え。逃げ口上でしかありません。そうだからといって科学的な分析を怠る理由にはならないのです。

 

疑似科学とされるものの科学性評定サイトの「鍼灸のページ」になされたコメントに対する回答で印象的なものがありましたので引用します。

 

 

科学は実験や調査などの新しいデータによって更新されることで発展する仕組みになっています。伝統的な概念であっても、それらが吟味されることなく、あたりまえの前提になっているのであれば問題視しなければなりません。

 

 

科学・東洋医学両方の観点から説明できる事柄が増えていくことを願っています。

 

 

【引用】

疑似科学とされるものの科学性評定サイト(http://www.sciencecomlabo.jp/index.html

 

【こちらのサイトもぜひ参考に】

「統合医療」情報発信サイト(http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/index.html