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2019/01/29

不妊と鍼灸治療 ― 「40歳を超えても妊娠できるか」という質問に対する回答
40歳以上で妊娠

不妊症に対して鍼灸治療に期待できる効果は、自律神経の反射を介した血流の改善や、免疫に対する何らかの働きかけと考えられています。

 

 

いつだったか、患者さんからこんな話をうかがいいました。

 

 

ある治療院のホームページで…

 

 

40歳を超えていても妊娠できますか?

 

 

との質問に、

 

 

昔の日本では、今の4倍以上も40歳以上の高齢出産が多かった

 

もともと人間のカラダにはそれだけの妊娠力が備わっている

 

だから諦めずに東洋医学で妊娠しやすい体質を取り戻しましょう!

 

 

といった旨の回答があったのだとか。

 

 

 

昔がいつの時代のことか分かりかねますし、“4倍以上”のデータの出どころも見つけることができませんでしたが、実際に「うち止めの留吉にしたのに、50前にもう一人できてしもてさ」なんて話を高齢の患者さんから聞いたことがあります。

 

とはいえ、もし質問者が「初産」の年齢のことを言っているのなら、“昔の日本”の高齢出産件数を引き合いに出すのは適切ではないなと感じます。

 

 

それは、“昔の日本”が多産だったから。

 

 

私(昭和50年生)の祖父母も7人とか5人の兄弟で、さらにその間に幼くして亡くなった者がいるとのことでした。

 

働き手を確保する必要性と、乳幼児死亡率の高さ、そして避妊の知識の無さなどが多産につながっていたのでしょう。

 

 

今回は多産だと高齢でも妊娠しやすい理由について、お示しできればと思います。

 

 

 

■ 一般的に、高齢になると妊娠しにくくなる

 

 

さて、毎月1個の卵子を排卵するために、卵巣の中では数か月かけて数百~1千個の「卵のタマゴ」が参加するオーディションが行われます。

 

A○Bのセンターを決めるようなものですね。

 

ただ、A○Bと違うのは、これが一生に一度きり、再エントリーできないオーディションであるということ。

 

 

つまり、毎月1個の排卵に至るまでに、数百~1千個の「卵のタマゴ」を消費しているわけです。

 

 

しかも「卵のタマゴ」は無限ではありません。生殖可能な年齢になった時点で、10万から数十万個と言われています。

 

年齢と共にストックが減ってくると、オーディションへの参加者まで減ってきて、参加者自体も年老いてくるのです。

 

 

こうなると、オーディションの過程で振り落とされる人数も多いでしょうし、排卵までたどり着いたとしても妊娠する能力がない可能性が増えてきます。

 

 

「良い子」がなかなか出てこない…。

 

 

高齢になると妊娠しにくくなる理由です。

 

 

 

■ 多産だと高齢でも妊娠しやすい

 

 

毎月排卵するとことでストックが減っていくと妊娠しにくくなってくるわけですが、いざ妊娠すると、オーディションは一時中止となります。

 

出産後もしばらくは止まっています。

 

するとその間、卵子のストックは減らずに済みます。

 

妊娠の機会が多ければ多いほど、オーディションの回数も少なく、「卵のタマゴ」のストックを減らさずに済み、オーディションへの参加者数を確保することができるのです。

 

 

参加者自体の高齢化は避けれれないものの、参加者数が多ければ、「良い子」が含まれている可能性も高くなりますよね?

 

 

だから多産だった“昔”は、高齢出産が多かった(高齢でも妊娠しやすかった)と考えられます。

 

 

 

■不妊鍼灸で妊娠まで至った最高年齢は?

 

 

件の回答の中では、43歳で妊娠した事例もあるとのことでした。

 

じねん堂の場合、胎嚢か心拍の確認を妊娠とすると、不妊鍼灸を受けながら妊娠された方の最高年齢は、自前の卵子だと41歳(体外受精)、卵子提供を受けた事例では50歳です。

 

 

 


 

 

 

40歳でも妊娠はできます。

 

ただし妊娠できる可能性は、若い頃より低くなることも確かです。

 

冒頭でも記しましたように、鍼灸では卵巣や子宮周りの血流を促したり、免疫系に何らかの働きかけが行われていると考えられています。

 

その状態を「妊娠しやすい体質」と呼ぶのであれば、鍼灸には不妊の体質を改善する力があるのでしょう。

 

じねん堂もお手伝いできればと思います。